B2B(BtoB)企業が行っているコミュニケーションは、媒体や手法により10種類に分類できることを前回紹介しました。これらの手法を用いて効果的・効率的なコミュニケーションをするには、各手法の特徴を押さえたうえで、適材適所で使い分けることが重要です。
そこで本コラムでは、B2B企業が求めるコミュニケーションの4つのポイントについて解説します。
なお本コラムは、弊社が開催したウェビナー『B2B企業が求めるコミュニケーション』の、一部内容を編集し全3回のシリーズに分けてお届けします。
B2B企業が求めるコミュニケーションの4つのポイント
B2B企業における一般的な商流図は、以下のとおりです。
これらの商流では、相手や目的に応じて4つのポイントがあります。
① イメージアップ、社会的信用の獲得、リクルート精度向上
② サプライチェーンの構築、円滑運用
③ 株主等からの信用・信頼
④ 営業、販売の支援
B2B企業の商流で、どのポイントを重視すべきかを表したのが以下の図です。
つまり、これらのポイントに従ったコミュニケーションがB2B企業に求められているといえます。
① イメージアップ、社会的信用の獲得、リクルート精度向上
B2B企業といっても、一般消費者とコミュニケーションをする必要があります。一般消費者からの認知度やイメージは、企業の信頼性や人材の確保に影響するためです。この商流でのコミュニケーションの主な目的は、以下のとおりです。
- 企業価値を高める
- 社会的信用を高める
- 従業員のモチベーションを上げる
- リクルートで優秀人材を確保する
つまり、「イメージアップ、社会的信用の獲得、リクルート精度向上」に重点を置いたコミュニケーションが求められています。
② サプライチェーンの構築、円滑運用
B2B企業は様々な企業と協力して、製品・サービスを消費者に届けています。そのためB2B企業において、サプライチェーンの構築、円滑運用は重要なポイントです。
サプライチェーンとは、一言で表すと「メーカー・サービサーの商売を手伝ってくれる関係者」です。これらの関係者とのコミュニケーションが不足すると、手伝ってくれる協力者がいなくなり、事業が成立しなくなるかもしれません。
そこで、このポイントにおけるコミュニケーションの目的は以下のとおりです。
- 製品やサービスを開発、及び販売してくれる協力者の構築
- 協力者の選択肢を増やし、円滑な事業継続
これらを意識したコミュニケーションをすることで、サプライチェーンの関係者がファン化し、事業の安定化につながります。
③ 株主等からの信用・信頼
B2B企業では、一般消費者や法人企業相手のコミュニケーションを重視しがちです。しかし、資金調達や企業の安定した経営には、経営層と株主・金融機関とのコミュニケーションが重要な役割を果たします。株主等からの信用・信頼を高めることで、以下の効果が期待できるためです。
- 株価の安定
- 金融機関からの信用向上
つまりB2C企業と同様に、B2B企業も「株主等からの信用・信頼」に努める必要があります。
④ 営業、販売の支援
作ったモノを売るには、取引先とのコミュニケーションを通じて、営業・販売をする必要があります。このポイントでの目的は以下のとおりです。
- 法人ユーザーの認知度を向上させる
- 興味をもたせ、比較・検討に自社製品を含めてもらう
- 商談で契約に結びつける
- リピートやアップセルにつなげる
- 法人ユーザーをロイヤルカスタマー化させる
営業職にとって、一番イメージしやすいコミュニケーションでしょう。例えば、展示会に出展する、ウェビナーを開催する、DXにより顧客コミュニケーションを加速させるなどがあります。
各コミュニケーションのポイントの度合い
前回紹介したコミュニケーションの手法を適材適所で使うには、4つのポイントの視点から選択することが重要です。この章では弊社の経験をもとに、各手法におけるポイントの度合いを5段階で評価します。
TVCM(企業ブランディング)
企業ブランディングを目的としたTVCMは、イメージアップ・社会的信用の獲得において非常に有効な手段です。実際に認知度の低さから採用活動が上手くいかずに、このような広告を打っているB2B企業は多くみかけます。
また認知度が向上することで、従業員のモチベーションアップや、家族からの好印象を得られるメリットもあります。
しかし、業務内容にまで踏み込んだCMが少ないこともあり、営業面での効果はあまり期待できません。さらにCMが炎上すると、イメージダウンのリスクもあるので注意が必要です。
TVCM(商材宣伝)
商材宣伝を目的としたTVCMは、営業、販売の支援の評価が高くなります。商材の知名度を高めることで、営業がしやすくなるためです。
また、同時に企業やサービスの認知も得られますので、イメージアップや株主・金融機関の信頼獲得も期待できるでしょう。
経営者インタビュー/ビジネス番組出演
経営者インタビューやビジネス番組の出演は、より深く企業や経営者、商材についてアピールできるので、全体的に評価は高めです。
とくに、金融機関や株主から信用を得るには有効な手段です。
実際に視聴した方に対する影響度は高いものの、接触機会が限られることや、接触回数が少ないという点で、「営業、販売の支援」のポイントはやや評価が低くなっています。
経済紙、業界紙への広告出稿
経済紙、業界紙の広告出稿は、全体的に高めの評価です。
具体的な商材のアピールもできますし、企業の知名度アップにも利用できるためです。また、業界紙の場合は、サプライチェーンのような業界関係者にリーチできるのも特徴といえるでしょう。
ただし、専門誌の場合は株主や金融機関の目に触れる機会が少ないことから、「株主等からの信用・信頼」は評価が2となっています。
交通広告
交通広告は掲示する場所や時間で、ある程度ターゲティングできるのがメリットです。そのため、「営業、販売の支援」の評価は4で、営業支援ツールとして有効といえます。
また駅や電車、バスなど多くの人が行きかう場所に掲示することで、企業の知名度向上につながり、イメージアップや社会的信用の獲得に役立ちます。
展示会出展
展示会は、企業に直接アプローチできる営業活動です。そのため営業、販売の支援の評価が高くなっています。加えて、取引先の拡大にもつながるので、サプライチェーン構築の視点からみても有効なコミュニケーション方法です。
ただし、閉ざされた空間で行われるため、一般消費者や株主・金融機関の関係者へ訴求しにくいのがデメリットです。
つまり、「営業、販売の支援」と「サプライチェーン構築」に特化したコミュニケーションといえます。
セミナー/ウェビナー
セミナー・ウェビナーは開催目的や内容によって、得られる効果が変わります。しかし、B2B企業においては、営業目的で開催するのが正直なところでしょう。
テーマに関して集まった方に、時間をかけてじっくりと情報を提供できることから、営業、販売の支援のコミュニケーションとして優れているためです。
インターネット広告
インターネット広告は、目的によって様々な効果が期待できます。例えば、イメージアップを目的に記事広告を出稿するなどです。
しかし、基本的にはリード獲得を目的とする営業活動に利用されています。そのため4つの視点からみると、営業、販売の支援の評価が高くなります。
ポイントを押さえたうえで準備が必要
B2B企業の求めるコミュニケーションを提供するには、相手に合わせて4つのポイントを考慮する必要があります。ただし、コミュニケーションの効果を最大化するには、ポイントに加えて5つの準備が必要です。
次回は、「B2Bで成果を出したい」という方に向けて、B2B企業のコミュニケーションにおける5つの準備についてお届けします。ぜひ、お楽しみに!