ビジネスにおいて見込み客の購入心理を把握することはとても重要です。購入心理を把握すれば、効果的なマーケティングができ利益を高められます。
そこで、購入心理を把握するために用いられるのが「購入心理の7段階」という手法。しかし購入心理の7段階とは、なんだろう?と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
当記事は、マーケティングに役立つ「購入心理の7段階」を解説します。また購入心理に対する理解を深めて、マーケティングに役立つ情報も提供するので、ぜひ最後までご覧ください。
購入心理の7段階のプロセス
購入心理の7段階とは、消費者が購入を決めるまでの心の流れを7段階のプロセスに分けたものです。消費者の購買心理を理解し各段階に合わせて訴求を最適化することで、商品の購入やサービスの成約に近づいていきます。一方でとにかく購入させようとして、心理状態に合わないアピールをすれば、販売活動は失敗してしまうでしょう。
購入や成約に導くためには、注意から決断までの全7段階の1つ1つを大切にしなければなりません。ここでは購入心理の7段階を解説しますので、各プロセスで大事なことをチェックしていきましょう。
購入心理①【注意】
購入心理の1段階目は、消費者に「注意」を傾けてもらうプロセスです。商品やサービスを消費者に選んでもらうには、まず知ってもらう必要があります。
どんな名店でも存在を知ってもらえなければ、お客さんは来ません。したがって、最初は見込み客との接点づくりを行い、商品やサービスを認知してもらいましょう。認知を広げる方法は、アナログ・デジタル含め以下のように多数あります。
- SNS
- Web広告
- 動画広告
- ダイレクトメッセージ(DM)
- 店内のPOP
- のぼり旗
- 広告チラシ
- テレビCM
この段階は、あくまで購入・成約の可能性がある見込み客を集めているだけです。印象を残すことは大事ですが、営業色は抑える必要があります。必ずしも見込み客のすべてが、興味を持っているとは限りません。
購入心理②【興味】
購入心理の2段階目は、消費者が商品やサービスに対して「興味」を持つプロセスです。注目してくれた消費者に対して、次は興味を抱いてもらいましょう。
例えば、興味を持ってもらえた例として、以下のような状況が挙げられます。
- 店頭で商品を手に取ってもらえた
- Web広告を見てクリックしてもらえた
- SNS投稿に「いいね」と反応してもらえた
思わず反応してしまう意外性やインパクト、そして心に刺さる訴求が大事です。反応がイマイチなら、キャッチコピーの文言や広告媒体の検証はあらゆる角度から行ってください。
購入心理を次の段階に進めるために、見込み客の「興味」を引くことに力を入れましょう。
購入心理③【連想】
興味を持った消費者を、購入や成約に近づけるためには、商品やサービスを実際に利用している場面を「連想」させることが大事です。購入後が想像できないと、なかなか購買する意欲も湧きませんよね。
例えば、見込み客に購入後の未来を見せる手法として、次のような例が有効です。
- 試着させる
- 試乗させる
- 体験を受けさせる
- 他の顧客の感想を聞かせる
- 動画で具体的な絵を見せる
見込み客は商品やサービスに「興味」を持っていますが、その魅力は具体的に理解できていません。したがって購入心理の3段階目では、利便性や楽しさを伝えることが大事です。
購入心理④【欲望】
商品やサービスに魅力を感じた人なら、程度の違いはあれど欲しいという気持ちが芽生えているでしょう。購入心理の4段階目では見込み客が抱く「欲望」を見極め、かき立てることが重要です。
このプロセスでも実際に商品やサービスを体験させ、購入後に訪れる未来を感じさせることは有効でしょう。さらに、見込み客の欲望そのものを分析し、適切に訴求することが重要です。
例えば同じようにお店に服を買いに来た人でも、満たしたい欲望・欲求は異なっています。人間には「マズローの5大欲求」という、以下の5つのステージの欲求があるからです。
- 生理的欲求
- 安全欲求
- 社会的欲求
- 承認欲求
- 自己実現欲求
モテたい人はおしゃれな服を探し、社会的欲求や生理的欲求を満たすことを考えます。また、おしゃれを楽しむのが目的の人は、承認欲求や自己実現欲求を満たしたいはずです。
つまり欲望をかき立てるためには見込み客の課題や悩みを理解して、それに応じた訴求することが重要です。商品やサービスが、見込み客の欲望を満たす解決策であることをアピールしましょう。
購入心理⑤【比較】
商品やサービスが欲しいと感じた人が、他と「比較」をするのが購入心理の5段階目です。見込み客は似たような商品やサービスにお金を出すなら、少しでも得をしたいと考えています。商品の購入前に、以下のポイントを比較した経験はありませんか。
- 価格
- 品質
- 機能
- 信頼性
- 口コミ・評判
比較させる際は、商品独自の強みを伝えることが重要です。他社にはないメリットや他社よりお得なプランを強調しましょう。
商品やサービスを体験しているなら、感想を聞いてメリットを思い出してもらいましょう。メリットだけでなく心配に思う点や不満な点を聞いて、デメリットをカバーする方法を伝えることも効果的です。
購入心理⑥【確信】
購入心理の6段階目は迷いを振り切って、見込み客の気持ちを「確信」に変えるプロセスです。たとえ比較検討をした上でも、見込み客は損をしたくないので最後まで決断を迷います。
心理的なブロックを乗り超えるために、見込み客の後押しをしましょう。以下の方法が、アピールの具体例です。
- 実績アピール:累計売上No.1、〇〇賞を受賞
- 権威性アピール:〇〇大学〇〇教授が推薦、あの〇〇も使用
- お得感のアピール:初月無料、〇〇が無料で付いてくる
- 安心感のアピール:30日間の返金保証あり、1年間のアフターフォロー
特に商品が高額なほど、決断は慎重になるでしょう。自信を持っておすすめする態度は大切ですが、ゴリ押しは禁物。見込み客が、自ら納得して決めることが大事です。
もし勢いで決めれば返品や早期解約、場合によってはクレームになる可能性もあります。必要なことを伝えきったなら、しっかりと待ちましょう。
購入心理⑦【決断】
購入心理の7段階目のプロセスは、最後の局面です。競合への優位性を高め、見込み客の迷いを振り切れたら、購入や成約を「決断」してもらいましょう。
ここまで辿り着けば販売活動はほぼ成功ですが、最後まで気を抜けません。購入の流れがわかりにくく、手順が面倒だとこのプロセスで離脱してしまう可能性もあります。
オンラインの販売であれば、以下のような点に気をつけましょう。
- さまざまな決済方法に対応する
- 分割払いやボーナス一括払いに対応する
また見込み客の気持ちを一押しするために、期間や数量の限定をアピールすると買うべきモチベーションを高められます。決断を促すために、最後まで丁寧にサポートをしましょう。
購入心理の7段階とその先
当記事でお伝えしたように、購入心理の7段階は商品やサービスの認知から購入・成約までの心理を考える手法です。昨今のビジネスにおいては、この7段階だけではなくその先の購入心理を考える機会も増えています。したがって、ここからは「購入心理の7段階とその先」について解説します。
購入心理の8段階とは?
購入心理の7段階がゴールに設定する購入・成約の先までを考えるために、購入心理の8段階というプロセスが用いられるケースもあります。
「マーケティング活動は購入や成約の後にも続く」という感覚が強くなり、さらなるプロセスが必要になってきた結果、生み出された手法だと考えていいでしょう。
購買心理の8段階目では、消費者が決断して手に入れた商品やサービスに「満足」してもらうことが重要です。商品やサービスが顧客の満足度を高めると、以下のような成果が期待できます。
- リピート購入
- 関連商品の購入
- ブランド力の強化
商品やサービスへの満足度が高まり上記のような成果が挙げられれば、マーケティングにかけるコストを減らすことも可能です。販売や営業のコストが減れば、利益を最大化できます。購入心理の8段階目では、顧客の満足度をあげて商品やサービスへのロイヤルティを高めましょう。
購入心理の8段階目は重要
購入心理の8段階目では満足度を高めつつ、顧客の心理にアプローチすることが重要です。なぜなら近年はSNSの発達によって、顧客に情報を拡散してもらえるチャンスが増えているからです。
泊まってよかった宿や見てよかった映画は、家族や友人にも伝えたくなります。その心理をうまく利用しない手はありません。ぜひ口コミや評判を拡散してもらいましょう。
顧客にも何かメリットを付与すれば、さらに拡散力は増します。具体例は以下の通りです。
- ギフト券がもらえる
- 割引クーポンがもらえる
- 抽選で豪華な景品がもらえる
- 現金のキャッシュバックがある
SNSによる拡散が成功すれば、無料で宣伝ができ多くの見込み客にリーチできます。顧客の心理を利用して、自然に効率よくマーケティングができるメリットは大きいでしょう。
購入心理にまつわる効果・法則
購入心理の7段階や8段階といった手法と組み合わせることで、効果を発揮する心理効果や法則をいくつか紹介します。心理効果や法則を有効に使い、商品やサービスが消費者から選ばれるマーケティング活動を行いましょう。
AIDMAの法則
AIDMAの法則は購入心理の7段階とはプロセスの分け方が異なりますが、消費者の心理に合わせたアプローチを最適化するという目的では共通しています。
名前の由来は、以下の5つのプロセスの頭文字です。
- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Desire(欲望)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
1920年代に提唱された心理プロセスを考えるための原始的な法則なので、実店舗のマーケティングに向いています。
関連した法則にAIDCAやAMTUL、AISASなどがあり商品やサービスに合わせて使い分けることが重要です。
カクテルパーティ効果
カクテルパーティー効果とは、ターゲットとなる消費者の注意や興味を引くテクニックです。この効果は無意識に情報を選別する脳の力を利用しています。
例えば、ガヤガヤと騒がしい居酒屋でも自分に話をしている人の声は聞き取れるはずです。なぜなら、脳が無意識に多くの情報から関心のあるものを選別できるからです。つまり情報があふれる状況でも、人は強く関心のある物事に対して無意識に反応できます。
万人に喜ばれる広告は無難ですが、居酒屋の雑音と一緒で誰にも届きません。したがって、
- これから起業する人は必見!
- 夏までに5kg痩せたい人は注目!
などと、特定のターゲットに刺さるコピーを使うほうが、結果的に見込み客の増加につながります。
松竹梅の法則(ゴルディロックス効果)
松竹梅の法則とは、選択肢が3つになると、真ん中の値段が選ばれやすいという法則です。
以下の選択肢を見てください。
- 松:7,500円
- 竹:4,500円
- 梅:3,000円
松は高いと感じて、梅だと質やボリュームに不安を感じるのではないでしょうか。[文字列の折り返しの区切り]したがって、ちょうど良さそうな竹が有力候補に上がるという訳です。
この法則を利用すると売りたい主力商品は、初めから真ん中に設定することが有効です。松の値段は、竹と比べて高級感のある値段にしましょう。竹の値段は梅より少しだけ高くすると、竹がよりお得に見えます。
ハロー効果
ハロー効果は物事の評価が、一部の初めの印象や特徴に引きずられる現象のことです。ちなみにハローとは後光のことで、神仏の体から発せられる光を意味します。
例えば日常生活の中でも、ある一部の印象や評価が拡大されることがあります。具体例は、以下のとおりです。
- しっかりと挨拶ができる生徒は、成績がいい
- 受付係に清潔感がある会社は、品格がある
- スーツを着ている人は、年収が高い
上記の評価には客観的な根拠がないので、事実と異なるケースもあります。しかしハロー効果を利用することで、短期的にプラスの評価が得られることも事実です。商品やサービスの見せ方を考えて、消費者に与える印象をコントロールすることはとても大事です。
購入心理の7段階を使いこなそう
ビジネスの成功は、商品やサービスの魅力だけでなく、マーケティングの方法によっても変わります。
なぜなら当記事で伝えてきたように、購入心理の段階を見極めて消費者の心理状態に合わせた訴求をすることが効果を発揮するからです。
すでに認知が広まっている商品やサービスなら、マーケティングの勝負は「欲望」の喚起や競合との「比較」かもしれません。根強いファンがいて、強いブランド力があれば、少し「決断」を促すだけで売れることもあるでしょう。
購入心理の7段階を使いこなして、ぜひマーケティング活動に活かしてみてください。そして、商品やサービスのヒットに役立てましょう。。