UGCはユーザー作成コンテンツと呼ばれ、マーケティングに取り入れられることが増えています。
なぜならば、オウンドメディアやECサイトに組み込むことで、アクセス数やコンバージョン率の増加が期待できるためです。
しかし、「具体的なメリットが知りたい」や「活用事例が知りたい」という方もいるでしょう。
そこで本記事では、UGCが注目されている理由やメリット、成功事例3選について紹介します。
UGCとは?ユーザー生成コンテンツ
UGCとはUser Generated Contentsの略で、ユーザー生成コンテンツのことです。具体的にはユーザーが作った動画やブログ、イラスト、口コミなどがあります。
反対に、企業側やECサイト側によって作られたコンテンツはPGC(Professional Generated Content)と呼びます。
IGCとの違い
IGCはInfluencer Generated Contentsの略で、インフルエンサーが作成したコンテンツを意味します。InstagramやTwitter、TikTokなどで発信力のあるインフルエンサーと、一般的なユーザーを区別するために使います。
UGCとIGCの違いは、コンテンツを作る人や目的です。
UGCはユーザーの自発的な行動によりコンテンツが生成され、商品やサービスの認知度を高めてくれます。
一方IGCの場合は、インフルエンサーが企業から報酬を受け取り、コンテンツ作成を請け負うことがあります。
CGMとの違い
CGMはConsumer Generated Mediaの略で、日本語に訳すと消費者生成メディアです。商品・サービスを利用したユーザーが投稿する口コミサイトやブログサイト、SNSなどが該当します。
UGCとCGMの違いは、メディアかコンテンツかです。
UGCは作成したコンテンツを指すのに対して、CGMは投稿するメディアを指します。
マーケティングにUGCが重要視される理由
UGCは、マーケティングとして注目されています。
2019年の経済産業省の報告書によると、2022年から2030年にUGCが一般化して、プロのコンテンツが駆逐される可能性も指摘されるほどです。
このようにマーケティングにおいて、UGCが重要視される理由は以下のとおりです。
- 購入体験の向上をサポート
- ユーザーの信頼獲得
- SNSの影響力の増加
参考:経済産業省 「「コンテンツの時代」研究会報告書」
購入体験の向上をサポート
UGCは、他ユーザーの購入体験の向上をサポートしてくれます。
例えばECサイトで商品を購入する際は、口コミやレビューで以下の内容について確認しませんか。
- 「本当に求めている商品なのか」
- 「信頼できるショップかどうか」
- 「製品の機能に問題はないか」
UGCを確認することで、他のユーザーはこれらの疑問や不安を解消できます。
そのうえで、購入するかしないかを選択できるので、「こんなはずではなかった」や「思っていたのと違う」といったミスマッチを予防できます。
ユーザーの信頼獲得
UGCが注目されている理由は、ユーザーの信頼獲得に役立つためです。
例えば友人や家族のSNSで特定の商品をおすすめしていたら、興味を持ってしまいませんか。
このように身近な人からはもちろん、インフルエンサーや著名人などが紹介した商品・サービスは「良さそう」と信頼しやすくなります。
ユーザー自身が感じた声や感性から作られた情報だからこそ、他ユーザーも受け入れやすいためです。
SNSの影響力の増加
SNSの影響力の増加が注目を集めている理由です。
現在は「1億総クリエーター時代」と呼ばれ、SNS・ブログ・動画サイトなどにより、誰しもが自分のコンテンツを発信できるようになりました。
それに伴い、若い世代を中心に情報収集源としてSNSが活用されています。
消費者庁の調べによると、「商品やサービスの購入を検討する際に、情報を得ているもののうちで重視するもの」で、SNSと企業の 公式サイトは以下の結果でした。
参考:消費者庁「令和4年版 消費者白書」
調査より若い世代では、公式サイトよりもSNSの情報を重要視していることがわかります。
企業がUGCを取り入れるメリット
企業がUGCをECサイトやオウンドメディアに取り込むことで、得られるメリットは以下の3つです。
- コンテンツの量を増やせる
- コンバージョン率の向上につながる
- 商品開発や施策改善につながる
コンテンツの量を増やせる
UGCを取り入れることで、費用を抑えつつコンテンツ量を増やせます。
アパレル業界であれば、モデルが着用した写真を用意するには、人件費や撮影費用など多くのコストが発生します。
一方、UGCであればユーザーが自発的に投稿してくれるため、費用がかかりません。つまり、費用・手間を抑えながらコンテンツ量を増やせるのがUGCのメリットです。
コンバージョン率の向上につながる
UGCはユーザーの共感を得やすいため、自社サイトに取り込むことでコンバージョン率の向上が期待できます。
具体的には、ECサイトもレビューや口コミを掲載して、ユーザーの不安を解消し購買意欲を高めるといった具合です。
商品開発や施策改善につながる
UGCはコントロールできないため、必ずしもポジティブな内容になるとは限りません。
なかには商品・サービスについて否定的な意見が届くこともあるでしょう。
しかし、ネガティブな内容であっても重要な情報となります。なぜならユーザーの生の声を聞けるからです。
つまり寄せられた意見をもとに、商品開発や施策を改善できるのがUGCのメリットです。
UGCの活用事例3選
UGCの適した活用法は、企業ごとに異なります。なぜなら企業によって相性の良い方法が異なるためです。ここでは、参考として成功事例3選を紹介します。
ニトリ
インテリアや家具を販売しているニトリの取り組みは、インスタに投稿された写真の掲載です。
「みんなのニトリ」と題して、ユーザーがどのようにして商品を使っているかをホームページ上で紹介しています。
ユーザーは使い方やコーディネートを参考にして、購入すべきかを判断できます。
LOTTE
LOTTEは人気商品「コアラのマーチ」を利用したUGCを展開しています。
具体的な流れは以下のとおりです。
- オリジナルのパッケージデザインを作成
- パッケージの写真をSNSに投稿
- 公式ホームページに掲載
「コアラのマーチ」を軸に、ファンコミュニティの形成に成功しています。
GoPro
アクティブな動画を撮影できるカメラとして人気の「GoPro」は、インスタを活用したUGCを実施しています。
GoProで撮影した動画をインスタにタグ付けして投稿することで、公式ページに表示される仕組みです。
世界中のユーザーの動画により、質の高いコンテンツを実現しています。
UGCの注意点
UGCはコンテンツの量の増加やユーザーの信頼獲得などのメリットがある一方で、注意すべき4つのポイントがあります。
- 薬機法に抵触していないか
- 著作権を侵害していないか
- ネガティブレビューにどのように対応するか
- ステルスマーケティングになっていないか
薬機法に抵触していないか
薬機法とは医薬品や医薬部外品、化粧品などの販売や製造についてのルールです。
該当の商材は、認められている効果・効能を販売時に表示できます。しかし、認められていないのに効果・効能を表示することや、薬機法で可能な表現を逸脱することは禁止されています。
ユーザーが薬機法に詳しいとは限らないため、UGCに薬機法に抵触するような文言がないかのチェックが必要です。
著作権を侵害していないか
UGCで注意すべき点は著作権侵害です。
UGCの著作権は作成したユーザーにありますので、無断でコンテンツを利用すると著作権侵害の恐れがあります。
UGCを利用する場合は、ユーザーに許可をとる必要があります。
否定的な意見にどのように対応するか
否定的な意見への対応方法については注意が必要です。
悪い評価は、表示させたくないと思うかもしれません。しかし肯定的な意見ばかりでは、不自然に思うユーザーもいるためです。
また否定的な意見もあることで、ユーザーは様々な角度から購入すべきかを検討できます。
ユーザーの購入体験を向上させるためにも、否定的な意見への対応方法は検討が必要です。
ステルスマーケティングになっていないか
ステルスマーケティングとは第三者に広告を依頼したのに、広告であることを告知せず、中立的な立場からレビューや口コミを発信しているかのように装う手法です。
例えばインフルエンサーに報酬を支払ったのに、そのことを告知せずにお気に入り商品として紹介してもらうといった具合です。
ユーザーが優良誤認する恐れもあるため、ステルスマーケティングと判明すると、発信者・企業の双方にネガティブなイメージが付いてしまいます。
また、2023年10月1日よりステルスマーケティングに対して規制が始まります。
違反とならないためにも、UGCを利用する場合は該当しないかのチェックが必要です。
UGCはメリットも多いが注意も必要
UGCを活用することで、量・質に優れたコンテンツを作りやすくなります。また、購入すべきかどうかの判断材料が増えるので、ユーザーにもメリットがあります。
しかし、ユーザーが作成したコンテンツは、自前で作ったコンテンツとは違った注意が必要です。UGCのメリットを最大限に享受するためにも、注意点を押さえておきましょう。